芙蓉オートリース株式会社
Top事例・実績脱炭素と地域貢献の両立を目指したEV導入  ~「ゼロエミッション東京」VPP実証実験参画~
脱炭素と地域貢献の両立を目指したEV導入  ~「ゼロエミッション東京」VPP実証実験参画~

脱炭素と地域貢献の両立を目指したEV導入  ~「ゼロエミッション東京」VPP実証実験参画~

横河レンタ・リース株式会社様

横河レンタ・リース株式会社様

コーポレートマネジメント本部 人事総務部 部長 石井慈典様

コーポレートマネジメント本部 人事総務部 主任 小川泰弘様

業種:レンタル・サービス業
導入サービス:EVワンストップサービス
導入目的・効果:EV化、脱炭素、BCP対策、地方創生

IT機器から計測器まで最新鋭機器をレンタルで提供し、企業の事業活動を幅広くサポートする横河レンタ・リース様。同社の強みは単なる物品のレンタルのみならず、ITやデジタルを駆使して常に新しいサービスを提供し続けていることにあります。2024年10月、同社は東京都の脱炭素事業などへの助成金制度「ゼロエミッション東京の実現に向けた技術開発支援事業※1」に採択された「EV蓄電池アグリケーションによる大規模VPP事業※2」への参画を発表し実証実験を開始しました。今回は、本取り組みに至った背景や経緯、今後の展望などを同社人事総務部長の石井慈典様・人事総務部主任の小川泰弘様に伺いました。

環境対策や社会貢献のために社有車のEV化を決断

横河レンタ・リース様では徹底した「環境への取り組み」を行なっていらっしゃいますが、貴社の環境に関する考え方についてお聞かせください。

( 石井様 )

「環境への取り組み」は当社の大切な基本方針の1つです。1999年5月、レンタル業界で初の環境マネジメントシステム ISO 14001 を認証取得以来、環境調和型企業を目指し、グリーン調達や無梱包納品による梱包材の削減など省エネルギー・リサイクルを考慮した様々な活動を推進しています。中期経営計画でも「カーボンニュートラルへの取り組み」を掲げ、「2030年までに温室効果ガス排出量をScope1およびScope2は28%削減、Scope3は14%削減」を目標としています。

当社は非上場企業ではありますが、企業規模では世の中の上場企業と比べても中間ぐらいのポジションにまで成長しています。そういった背景も踏まえ、当社社長が「そろそろ当社も上場企業並みの環境対策や社会貢献をしていく必要がある。会社を挙げて取り組んでいこう」というメッセージを発信し、各種取り組みを更に加速させている状況です。

当社は製造業ではないのでCO₂の排出量そのものはそれほど多くはありませんが、それでも「やるべきことは必ずある」と環境対策や社会貢献の取り組みを模索し推進し続けてきました。その一環として社有車のEV化に着手することを決めました。

CO₂排出量はそれほど多くないとのことですが、社有車のEV化に加えて太陽光発電装置も導入されました。この理由について教えてください。

( 石井様 )

当社では相模原テックを環境対策やSDGsに関する様々な取り組みを推進するための旗艦拠点に位置付けました。相模原テックで成果のあがった取り組みを他の拠点に展開したり、地域に発信したりすることを狙いとしています。今回のEV導入や太陽光発電装置の導入も同拠点における取り組みの1つです。

残念ながら今の日本ではEV充電スポットがまだ完全に整備されていないので、1日当たりの走行距離が多い地方の営業所にまで社有車のEV化を拡大すると業務途中で充電できず走行停止になるリスクがあります。そこで、まずは相模原テックと近隣拠点である橋本テックとの往復で使用している社有車をEV化して試験運用してみることにしました。EVが社有車として問題なく使用できると分かれば、それをきっかけとしてEV化を推進していけると考えました。

太陽光発電装置の導入についてもEVと同様に最初の一歩という位置付けです。今回導入した設備で最大量を発電したとしても相模原テックで使用するすべての電力をまかなえるわけではありません。しかし、このような当社の取り組みが少しずつでも地域や社会全体に広がっていけば、いずれ大きな力になるだろうと考えました。

横河レンタ・リース株式会社 コーポレートマネジメント本部 人事総務部 部長 石井慈典様 画像
横河レンタ・リース株式会社 コーポレートマネジメント本部
人事総務部 部長 石井慈典様

「ゼロエミッション東京」のVPP実証実験に参画

「ゼロエミッション東京」に採択されたVPP実証実験への参画を決定された経緯についてお聞かせください。

( 石井様 )

社有車のEV化について芙蓉オートリースに相談したところ、EVのリースと併せて「ゼロエミッション東京」の実証実験への参画を提案されました。「点在する太陽光発電設備やEVを高度なIoT技術によって束ねることで仮想発電所(VPP)とし、電力の需要と供給のバランスを調整する仕組みを構築する」という本実証実験の説明を受け、この取り組みの社会的な意義を感じました。「一緒にやりませんか」とご提案いただいたとき、社会的に意義のある環境への取り組みを推進してきた当社の志と芙蓉オートリースの実現したい方向性が合致したと感じました。 

すでに太陽光発電設備の導入は決めていましたが、効果的な活用のために蓄電池の追加導入を考えた場合、非常に大きなコストとスペースが必要になります。しかし、EVを「走る蓄電池」と考えれば普段は社有車としても利用できるので効率的ですし、コスト面でもそれほど大きな負担なく導入できます。それならばEVを社有車としても蓄電池としてもしっかりと活用できる仕組みを導入しようと考えて本実証実験への参画を決めました。

VPP実証実験への参画を決定されてから実証実験スタートまでに課題になったことがあれば教えてください。

( 小川様 )

社内協議においては「本取り組みが社会貢献として非常に意義のあるものであること」と「企業ブランディングとして活用すれば、将来的に利益に直結する成果も挙げられること」を前面に打ち出し、多様なベクトルから導入メリットを説明することに努めました。しかし、本取り組みにかかるコストが当社にとって必要な投資であることがなかなか伝えきれずに何度となく差し戻しを受けました。そのたびに芙蓉オートリースや本実証実験の採択事業者であるREXEV、設備施工会社とミーティングを実施し、導入する設備や施工内容の見直しなど解決策を模索することになりましたが各社の知見には大変助けられました。

横河レンタ・リース株式会社 コーポレートマネジメント本部 人事総務部 主任 小川泰弘様 画像
横河レンタ・リース株式会社 コーポレートマネジメント本部
人事総務部 主任 小川泰弘様

( 石井様 )

環境への取り組みに資金が必要なのは事実ですが、当社では社長が「環境はコストではない。投資である」と明言している通り、本取り組みも投資という視点でしっかりと検討を進めることができました。しかし、単なる企業プロモーションとしてではなく投資として行なう以上、企業規模と投資額とのバランス、取り組み価値と投資額とのバランスが適正かが大きな論点となります。この調整には非常に苦労しました。

社内協議を始めた当初は反対意見も多く「実現できないかもしれない」と弱気になったこともありました。しかし、今後の環境投資や社会貢献活動が消極的になる意思決定だけは絶対に回避するという決意のもと、最低でもEV導入は実現できるように複数のプランを準備して協議に臨みました。結果、社長からの「これでいこう」という非常に前向きなコメントとともに今回導入したプランの承認を得ることができ、これまでに行なってきた社内協議や様々な調整が報われたと感じました。

2024年10月からVPP 実証実験がスタートしましたが、現時点ではどのような手ごたえを感じていますか?

( 小川様 )

現状、EVもシステムも全く問題なく運用できています。当社は相模原テックのある相模原市の取り組み「相模原SDGsパートナー」に加盟しているのですが、地域の皆様にも当社の取り組みを広く知っていただくため、導入したEVには当社ロゴとともに「相模原SDGsパートナー」のロゴステッカーを貼らせていただきました。この車が地域を走行することで街を歩く人たちにもアピールできているのではないかと思います。

「相模原SDGsパートナー」

 ( 石井様 )

当社の主業であるレンタル業は「同じものを繰り返し使う」という本質的に環境にやさしいビジネスモデルではありますが、これまでは「もう少し具体性のあるプラスアルファの取り組みが必要だ」と考える社員が多かったように思います。しかし、本取り組みが1つの形になったことをきっかけとして「環境への取り組みを通じて社会的な責任を果たしていく」というマインドが全社に浸透し、社内の地域貢献へのモチベーションも非常に高まってきたと感じます。実際に、定期的に行なっている各部のマネージャークラスによる「カーボンニュートラル会議」での意見交換も以前と比較して非常に活性化してきました。

VPP実証実験への参画を通じて感じることがあれば教えてください。

( 小川様 )

当初は単に「太陽光発電をすればいいんだ」「EVを導入すればいいんだ」と考えていました。しかし、本実証実験への参画にあたり芙蓉オートリースやREXEVから説明を受け、電力は作るだけでなく必要な時に使えるように溜めておく仕組みや溜めた電力を活用する仕組みなどを整備することが重要だと分かりました。

「VPPとは何か?」「本取り組みがどのように社会貢献につながるのか?」など疑問に思ったことは芙蓉オートリースに何度も質問し、それに対して詳細に答えていただけました。当社がこのシステムを活用することによって電力を必要としている地域への電力供給が可能になるというVPPの仕組みはとても勉強になりましたし、この取り組みをより多くの人に伝えたいと思うようになりました。

社会貢献は個人的にも非常に興味がある分野でしたが、自分のような1人の会社員が働きながらできることはそれほど多くありません。また、当社がEVを2台導入したからと言ってすぐに世の中が変えられるわけでもありません。そのような中、小さな取り組みからでも社会的な影響力を与えられるこの先鋭的なプログラムに参画できたことは非常に貴重だと感じています。

実証実験を機に、より環境に配慮したサービス展開でビジネス価値最大化を目指す

本実証実験への参画によって「環境への取り組み」がますます加速している横河レンタ・リース様ですが、今後の展望についてお聞かせください。

( 小川様 )

今後、当社として様々な取り組みを行なう上で心掛けたいのは「お客様のお手元に届くまでの工程すべてにおいて環境負荷を減らす努力をする」ということです。自社だけでは完結しない取り組みではありますが、各企業との連携でどこまでアプローチできるのか、様々な方向からやり方を模索していきたいと考えています。

今回の取り組みも最初はすべてを理解できませんでしたが、今では社内で説明できるほどになり非常に有意義な学びとなりました。今後も社有車のEV化を始めとした取り組みを行なっていくことになりますが、引き続き芙蓉オートリースにはお力添えをいただきたいと思います。

( 石井様 )

当社も単なるレンタル業で終わってしまったら競争社会で勝ち抜くことはできません。ビジネス価値を最大化するため、より環境に配慮した付加価値の高いサービスを展開していくことが一層求められると考えています。

社有車については、当社の温室効果ガス削減目標達成に向けてEV化を進めていくことはもちろんですが、将来的には相模原テックから全国のお客様に商品を配送しているトラックについても脱炭素を図っていきたいと思っています。EV以外にも水素燃料車という選択肢も考えられますし、様々なプランを柔軟に幅広く検討していきたいと思っています。

今回の取り組みから芙蓉オートリースの提案が高度化していることを感じました。これからも更なる提案やサポートをいただけることを期待しています。

 

 

  • 2050年にCO₂排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現に向けて、脱炭素事業などに取り組む都内のエネルギー / 環境系ベンチャー・中小企業が事業会社などとのオープンイノベーションにより事業化するゼロエミッションに向けた技術開発を対象に、その開発、改良、実証実験および販路開拓に要する経費の一部について東京都が補助する取り組み。
  • 「ゼロエミッション東京の実現に向けた技術開発支援事業」に採択された、株式会社REXEVを事業者とする取り組み。EVの車載蓄電池の充電情報をクラウド上で集約管理することでVPP(点在する太陽光や蓄電池、EVなどのエネルギーリソースをIoT技術で管理・制御して1つの発電所のように機能させる新しい需給調整の仕組み)を構築し、EVエネルギーマネジメントの事業化を目指す。事業化に向けては、EVユーザー向けに株式会社REXEVのEV充放電遠隔制御のシステムを提供し、そのEVをVPPに組み入れることで、将来的にEV由来の調整力を取引する事業を構築する。

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